編集者から

北海道のワイナリー つくり手たちを訪ねて
阿部さおり・阿部眞久 著A5判、160頁
定価 (本体 1,600円+税)
「北海道のワインを旅する」発刊から9年が経ち、現在の道内ワイン事情には隔世の感があります。まずはその数。当時掲載したワイナリーや醸造所を持たないヴィンヤードは20軒。現在はワイナリーだけで41。今後も、準備を進める新規就農者などが控えています。
その形態も様変わりしました。ここ10年、新規参入は主に家族経営的な小規模ワイナリー。その小ささゆえ、オーナーの想いがブドウの品種選びや育て方、醸造方法に反映され、ボトルのデザインなども個性的です。もちろん、ワインの味や香りも然り。一方、北海道のワイン創成期を支え、牽引してきた老舗ワイナリーも確実に進化を遂げています。
何より驚くのは温暖化による品種の多様化です。従来の寒冷地で育ちやすいドイツ系やヤマブドウ系品種に加え、より温暖な地域の品種が増え、この流れは続きそう。
今やワインのつくり手たちにとって憧れの地となった北海道。ポテンシャルは未知数です。「北の風土を反映させたワインとは」という永遠のテーマに取り組む人たちに想いをはせながら北国ならではのワインと食の自分好みの組み合わせを探すのも楽しいですよ。
編集担当 M.Y


折茂武彦 弧を描く
佐藤大吾(北海道新聞) 著四六判、232頁
定価 (本体 1,300円+税)
今季限りで現役を引退したバスケットボールBリーグ1部レバンガ北海道の折茂武彦選手は、オールスターで9度もMVPを獲得した日本屈指のバスケットボール選手です。しかし、この本は折茂選手の栄光を称える「ヨイショ本」ではありません。むしろ、挫折や心の葛藤などかっこ悪い面が赤裸々につづられています。
トヨタ自動車在籍時の年収は四千万円以上。一方、ファンをファンとも思わない態度で「嫌なヤツ」でした。むかつく審判にボールをぶつけ、ヤジにカッとなり、中指を突き立てることさえありました。そんな折茂選手がただ北海道にプロチームを残すためだけに、自ら経営者となり奮闘します。スポンサーを獲得するため、慣れないスーツを着て、激やせしながらも、必死に頭を下げる日々。男気あふれるその姿は、しがないサラリーマンの私にとってとてもかっこよく映り、コートの中と同様に輝いて見えます。
編集担当 H.I


しまえながのきもち
山本 光一 著四六変型判、88頁
定価 (本体1000円+税)
いよいよ野鳥界のアイドル登場です。
全長14cm(半分は尾)、体重は7g程とすっぽり手の中に収まってしまう超ミニサイズ。見つけづらい上に、とてもすばしこくて目で追いかけるのは至難の業だとか。
かわいさばかりが注目されてしまう昨今、シマエナガの少々複雑な気持ちをくみとり、彼らの本音を引き出してみました。
育児中のシマエナガは、運よく出会っても「これってシマエナガ?」と思うくらい、羽毛はぼさぼさで相当お疲れの様子。出てきた言葉は「花見どころじゃないわ」。悲しいかな、それでもかわいく見えてしまうのがアイドルたる所以でしょうか。羽を振り乱し必死に生きている姿に、「がんばって」と応援したくなります。
見事な巣づくりやヒナの成長過程、運よく本の制作中に撮れた肉眼ではとらえにくいホバリングの貴重な連続カットも見所です。
ちっちゃなちっちゃな鳥ですが、その懸命さに、つい見直しちゃいますよ!
編集担当 M.Y


一度は泊まってみたい!北海道の温泉宿
小野寺淳子 著A5判、200頁
定価 (本体1,800円+税)
温泉地が全国一多い北海道には1000近くの温泉施設があるといわれていますが、そのなかでも特に評判の高い温泉宿89軒を紹介しています。喧騒から離れた隠れ家的な宿、山海の珍味を堪能できる料理自慢の宿、格式高い名建築の宿など多彩な顔ぶれですが、非日常を味わえる名宿ばかりです。
著者の小野寺淳子さんは30年近くに渡ってあっちもこっちもと道内の温泉取材を続け、これまでに10冊以上のガイドブックを執筆してきました。最新作となるこの本では、施設の住所、料金、電話番号といった基本情報のほかに、設えや料理の写真を増やして、宿の個性をより詳しく紹介しています。さらに、読者の多様な要望に応えるために、ペット同伴、Wi-Fi環境、送迎、カード決済の対応状況も掲載しました。読者カードによると、個人や家族旅行者のほかに出張時の宿選びのために購入する方も多いようです。出張で名宿に泊まれるなんて、羨ましいかぎりです。
編集担当 H.I


さわこのじてん
今美幸・今佐和子著A5変型判、160頁
定価 (本体1,500円+税)
厚紙を貼り合わせた本文は約40ページ、全体の厚さは5センチほど。背の部分には隙間があり、ページを開いたまま机に置くことができます。絵本のように両方のページがほんの少し浮き上がるので、手の不自由な佐和子さんが自分でめくれるようになっています。これが世界に一冊の「さわこのじてん」です。
重い障害のある娘とどうにかしてことばを交わしたいと願った母が、娘の成長に合わせて改良を重ねたこのじてんには、日常生活で使う単語から、「好き」「つまらない」など感情を表すものまで、伝わる喜びをのせたことばが詰まっています。
障害者ものというと、深刻な内容を感動的に描くというパターンが思い浮かびますが、本書の母娘は決してそればかりではありません。娘とただ「今日の空は青いね」と語り合いたいと願って生まれたじてんには、ことばを使ってコミュニケーションを交わす私たちの心までが綴じ込まれているようです。
編集担当 S.K


札幌の路面電車100年
北海道新聞社 編B5判、176頁
定価 (本体1,800円+税)
札幌の路面電車の開業から現在にいたる軌跡を写真と文章で詳しく紹介した本です。北海道大博覧会に合わせて開業したのは、1918年(大正7年)。その後、札幌の発展に伴って路線も拡大し、ピークの64年(昭和39年)には総延長25キロになります。この年の1日の利用者数は約27万8千人。当時の札幌の人口は約70万人なので、実に約4割の市民が市電に乗っていたことになります。2017年(平成29年)の1日の利用者数が2万4千人ですから、当時の賑わいぶりがうかがえます。
しかし、1971年(昭和46年)に地下鉄が開業すると、徐々に路線網は縮小され、74年(昭和49年)には約8.5キロの単一路線を残すだけとなりました。近年、有用性が見直され、2015年(平成27年)には環状化(ループ化)し、利便性が大きく向上し、「復活」のきざしを見せています。ぜひこの本で、100年にわたる山あり谷ありの歴史を振り返ってみてください。
編集担当 H.I


札幌から日帰り ゆったりハイキング
菅原 靖彦 著B6判、288頁
定価 (本体1,800円+税)
花が咲き、緑が萌える、いい季節になりました。たまには自然に包まれて休日を過ごしたいものです。でも、リュック担いでいきなり山へ、というのはちょっと大変かもーそんな方にお勧めしたいのがこの本です。
著者は人気シリーズ『北海道夏山ガイド』の執筆者の一人、菅原靖彦さん。北は旭川、西は黒松内、南は室蘭、東は新冠まで、札幌からクルマを利用して日帰りでハイキングを楽しめる44カ所を紹介しています。取り上げたコースは公園の遊歩道から軽い登山までバリエーション豊か。いずれも著者が何度も足を運んで取材した情報をぎっしり詰め込みました。
セールスポイントは詳細な地図です。コースタイムや距離、見どころ、注意点などが記され、コースの特徴がすぐ分かります。標高差や難易度も表示しているので、ハードな登山はきつくなったお年寄りや、長距離を歩くのは困難な親子連れでも、自分に合ったコースを容易に選べます。
各地で見られる花や野鳥の情報も豊富に収録しました。本書を片手に自然の中へどんどん繰り出してみてはいかがでしょうか。
編集担当 A.N



北海道 おいしいそばの店
梅村 敦子 著A5判・136頁
定価 (本体1,500円+税)
北は稚内市にある「はるな家」さんから、南は渡島管内福島町にある「千軒そば」さんまで、北海道内のそば店148 軒を紹介したガイドブックです。
そば店というと、勝手なイメージですが、愛想ひとつ言わない店主が、黙々と支度し、頑固なまでに職人気質を貫くというような印象がありました。このガイドブックに掲載したそば店は、著者が店主に取材して太鼓判を押した店ばかりなので、味だけでなく雰囲気もいい店ばかりです。客足が絶えない理由もわかります。人並みの食いしん坊である私も掲載店から20 軒ほど選んで行ってみましたが、味はもちろん、感じのいい店主と明るい接客で、心地よい店ばかりでした。ぜひこのガイドブックを片手にお近くのお店まで行ってみてください。
編集担当 H.I


みんな葛西が大好きだ! レジェンドの素顔に迫る
岡﨑 敏 著四六判・288頁
定価 (本体1,500円+税)
葛西紀明選手の講演会での出来事。講演中にあるものが手渡しで回って来ました。なんと、平昌五輪の銀と銅のメダルです。言葉だけでなく、実際に触れて感動を共有してもらおうという、粋な計らいでした。いったいどれだけの人が触ったのでしょう。メダルの表面はギザギザでした。
「会えば必ず好きになる。本当に魅力的なアスリートなんです」
著者の岡崎敏さんはそう言います。試合後、ファンが要求するサインを書き終えるまで帰らない、成績が悪くても必ず記者の質問に答える……。葛西選手にまつわるエピソードの数々。傷だらけのメダルには、ファンの人々に対する感謝の気持ちがあふれていました。そんな葛西選手の魅力が、この本にはいっぱい詰まっています。
編集担当 T.K


定山渓鉄道
久保 ヒデキ 著B5判・328頁
定価 (本体2,800円+税)
定山渓鉄道白石―定山渓間が開通したのは、1918年(大正7)年10月17日のことです。距離にして約30キロ。現在なら車で40分ほどの距離ですが、開通当初は2時間ちょっとかかりました。乗客や貨物をめいっぱい乗せた客車を十数両連ねた大編成、そのうえ路線も急勾配と急カーブが連続し、随分とのろのろ運転だったようです。それでも沿線の住民は煙を噴き上げた1番列車の姿をみると、うれしくて「ただただ涙があふれてしょうがなかった」といいます。
定山渓鉄道は100年前のこの日から廃止までの51年間、驚くほど多彩で濃密な歴史を歩んでいきます。過剰なまでのエネルギーをもった鉄道です。ぜひ本をご覧いただければと思います。
編集担当 H.I



小樽 蔵めぐり イラスト帖
今村 敏明 著A5変型判・160頁
定価 (本体1,600円+税)
古くて新しい商都・小樽の歩き方
北海道で蔵といえば、小樽の運河沿いにある大型倉庫、函館の金森赤レンガ倉庫群が有名です。本書の著者・今村敏明さんは、建築物を長く描いてきたイラストレーターで小樽在住。住宅地にひっそりとたたずみ、小樽らしい町並みを形作ってきた蔵が徐々に壊されていくのを見かねて、その価値をもっと多くの人に知ってもらおうとスケッチを始めました。
取材は足が基本。町を歩いて見つけた蔵を1棟ずつ描き、所有者に蔵の由来を聞き、所有者が不明なものはつてをたどって探し回り、3年余りをかけて刊行に漕ぎ着けました。
市内を8つのエリアに分け、蔵の位置と付近の見どころも紹介しています。商都・小樽の盛衰をたどり、歴史をめぐるまち歩きのお供にもなるユニークな一冊です。
編集担当 S.K


はじめての北の家庭菜園
大宮 あゆみ 著、山口 猛彦 監修B5変型判・192頁
定価 (本体1,389円+税)
自分で育てた採れたての野菜ほどおいしいものはありませんよね。でも、意外と難しいのが野菜作り。はじめてではなくても「一度失敗しちゃったし…」という方もいるのでは?
かくいう著者の大宮あゆみさんもその一人です。見よう見まねで育て始めた野菜。世話をしきれず放置してしまったものの、いつしか力強く実ったトマトの生命力に感動したことがきっかけで野菜作りを学んだそうです。そんなご本人の体験があったからこそ、本書が生まれました。
タイトル通り、はじめての方、そして大宮さんのように苦い経験をお持ち方のためのとってもわかりやすい1冊です。
本書で少し自信がついたら、次は『ステップアップ 北の家庭菜園』がおすすめです。
編集担当 M.Y


もりのやきゅうちーむ ふぁいたーず
つよさのひみつ
作・北海道日本ハムファイターズ選手会/絵・堀川 真A4変型判・32頁
定価 (本体1,296円+税)
ファイターズの選手たちが創作した絵本の第2弾です。今作も子どもの成長に大切なことを楽しく教えてくれます。大野奨太選手会長も「読書の大切さだけでなく、食べること、寝ること、運動することをプロ野球選手ならではの形で子どもたちに伝えていきたい」と話しています。
また、前作同様に選手たちの実話をもとにしたエピソードも詰まっています。例えば、ねぼすけのゴリラをサルとカラスが一生懸命起こす場面。これも実際に遠征中などで早起きが苦手な中田翔選手を起こすのは、いつも中島卓也選手と杉谷拳士選手だからです。試合になると、一回から九回までどの瞬間もチームに頼りにされている大将、中田選手のおちゃめな一面が垣間みえます。
編集担当 H.I




北海道の私鉄車両
澤内 一晃・星 良助 著B5判・272頁
定価 (本体2,750円+税)
北海道の私鉄44社に所属したことのある車両は、すべて合わせると数万台にのぼります。著者の澤内一晃さんと星良助さんは国立公文書館などに所蔵されている公文書や組立図といった関連資料を片っ端からかき集めて、一台ずつ調べました。その成果をまとめたのがこの本です。
一本の枝を探し求めて樹海をさまようような、はてしない仕事です。棚から棚へ、こぼれるように置かれた資料の束を調べ尽くすまでに、10年以上の歳月がかかりました。並外れた探究心と情熱ですよね。鉄道に興味のある方はぜひお手にとってみてください。
編集担当 H.I



北海道の小麦でパンを焼こう
森本 まどか 著B5変型判・128頁
定価 (本体1,574円+税)
“ 米チェン”から“ 麦チェン”へ―― なかなか難しいチェンジです。北海道民なら、すでに道産米にチェンジ済みの方が多いのではないでしょうか。
しかし、これが小麦となると、なかなか一筋縄ではいきません。それは、日本の小麦自給率が約13%にとどまり、生産量日本一とはいえ道産小麦はその7割程度なのです。小麦は口にしない日はないほど欠かせない原材料ですが、お米と違い加工品が多いため、なかなか産地まで意識が向きません。
しかし、最近は出所のはっきりした食材を好む消費者が増え、パンに適した小麦の品種改良も進み、スーパーやコンビニ、まちのパン屋さんで「北海道小麦使用」のパンをよく見かけます。
家庭で焼くパンだからこそ、ぜひ近くの畑の小麦で、との想いから本書はできました。
現在、主なパン用の小麦は6品種。実に個性豊かな面々です。その特徴も知って楽しんでほしいです。また、本書で使用している「とかち野酵母」を使うと、オール北海道の食材でパンができます。ホームベーカリーでもおいしく焼けますよ。この機会にぜひ、小麦について考えてみませんか。
編集担当 M.Y


夕張再生、俺が引き受けた
財政破たんの故郷で市長になった男
第七代夕張市長 藤倉 肇 著/森 浩義 編四六判・304頁
定価 (本体1,574円+税)
夕張市が財政破たんした直後の夕張市長選で当選した第七代夕張市長、藤倉肇さんの自叙伝・市長回顧録です。
藤倉さんは夕張の炭鉱街に生まれ、夕張北高を卒業後に上京し、タイヤ工場の職工をしながら日本大学の夜学を卒業。営業職に昇格して全国を飛び回って実績をあげ、ついには北海道ヨコハマタイヤ販売の社長となった苦労人です。
故郷の窮状を見かねて市長選に出馬。「素人市長」を自認しながらも任期中に5 人の総務大臣と渡り合い、全国初となる再生計画をまとめ、複数の企業誘致も実現しました。現在の鈴木直道市長を後継指名し、1 期で市長職を退きました。日本の自治体史の1 ページともいえる4 年間の裏側で「今だから話せる」内容を満載した一冊です。
本書の中に幾度も登場する藤倉さんの言葉が、私たちに力を与えてくれる気がします。
「なにくそ!」
編集担当 G.O


スコアアップ!名人・萩史之のパークゴルフコース攻略法
萩 史之 監修 和田 玲花 著A5判・216頁
定価 (本体1,500円+税)
この本の監修者萩史之さんは、パークゴルフ愛好者の間では知らない人がいないほどの達人です。多くのプレーヤーが頭を悩ます難攻不落のコースも簡単にスコアメイクし、あっさり攻略。その技術力の高さから、「パークゴルフの申し子」という異名をとるほどです。
萩さんの本業は帯広市内の居酒屋「田吾作」の店主です。店を切り盛りするかたわら、「クラブが自分の身体の一部に感じるくらい」までひたすら練習に励むそうです。華やかな舞台での活躍を支えているのは、睡眠時間を削ってひとり黙々と汗を流す時間です。大会前日にこの本を買って、一夜漬けで暗記しても、日ごろから練習していないとダメですよ。
編集担当 H.I



昆虫図鑑 北海道の蝶と蛾
堀 繁久・櫻井 正俊 著A5判・423頁
定価 (本体4,500円+税)
鱗翅目(りんしもく)と呼ばれる蝶と蛾の仲間。北海道では3500種ほどが記録されています。しかし、それらを網羅する手ごろな図鑑はありませんでした。
本書は北海道で確認されている蝶類138種、大蛾類1503種、小蛾類1575種、計3216種をカラーで掲載。道内で見られる蝶と蛾のほぼすべてをカバーしました。
種の特徴や似ている種との区別点は引き出し線を引いて簡潔に解説。北海道に記録のある、または記録される予定の鱗翅目全種をまとめたリストも掲載しています。
専門的なことは分からなくても、ページをめくるだけで蝶と蛾の色や模様、形の多様さに驚かされるでしょう。昆虫好きな子どもから、調査・研究に携わる方まで活用していただきたい図鑑です。
編集担当 A.N



土方歳三最後の戦い 北海道199日
好川 之範 著四六判・327頁
定価 (本体1,700円+税)
幕末のヒーローとして人気の高い元新選組副長・土方歳三。戊辰戦争最後の戦場となった函館で撃たれて亡くなるまで、劣勢な旧幕府軍にあっても「誠」の誇りと魂を失わず、戦い抜いた姿に心ひかれる人は多いでしょう。
土方が北海道で過ごしたのは上陸から戦死までわずか199日。その最後の日々をたくさんの史料や伝承、子孫ら関係者への取材を通して丹念に描いたのが本書です。戦闘での活躍はもちろん、読み進めるほどに、仲間たちから母のように慕われたという人間・土方の姿が浮かび上がってきます。
なぜ北を目指したのか、だれに撃たれたのか-数々の疑問も解き明かし、読み応え十分です。道内の土方ゆかりの地も多数紹介しており、歴史散歩も楽しめますよ。
編集担当 A.N


小さな森の物語 十勝・鎮守の杜の動物たち
矢部 志朗 著B5変型判・96頁
定価 (本体1,759円+税)
鎮守の杜の小宇宙
編集作業も中盤に差し掛かった6月中旬、デザイン担当の佐々木正男氏とともに音更神社を訪れました。樹齢百年のミズナラの木のすぐ先は、役場の駐車場。反対側の町道は、ひっきりなしに車が走っています。でも、木々の緑がこれらの喧騒を吸収しているのでしょう。森の中は静寂でした。
気が付くと、足元では木の実を一生懸命食べているエゾリスの姿が。カワアイサの親子も、役場の裏の池でのんびり日向ぼっこしています。まさに鎮守の杜の小宇宙。小さな森で私たちが受けた感動を、ぜひこの写真集で一緒に分かち合えたら、と願います。
編集担当 T.K
